VINTAGE WASHED SELVEDGE DENIM 5P PANTS / Faded Blue
ULTERIORから定番的に出されている5ポケットデニムパンツ。
2024SSでオーダーした際は展示会でデザイナーの牧さんから「この年齢でも穿けるデニムを作りたかった」とのことで私としても珍しくデニムがあるな、と思いつつ試着しオーダー。
個人的には形も雰囲気も凄く良くてオーダーしたのだが、こういったブランドが出すデニムが売れたイメージがなく少し不安材料を抱えていたのですが蓋を開けてみたら即完売。
やはり現行のデニムともヴィンテージとも違ったファッションの匂いを感じてもらえたのではないでしょうか。
なんとも美しく、まだリーバイスが高騰する前に日常着としてデニムを穿いていた人なら共感出来る色の落ち方や色合いではないでしょうか。
しかし素材を紐解くと太さにムラのある米綿とデニムで使うなんて考えられない超長綿のスーピマコットンをブレンドしピュアインディゴで染め上げており一般的な想像し得るデニムとはかけ離れた作り方になっております。
しかもその糸を旧式のシャトル織機で低速で織り上げることで柔らかさと膨らみを持たせているようです。
ぱっと見は実家に眠っている高校生時代に穿いていたデニムのような見た目しているのに実際はアウターでも作っているかのような仕立てになっています。
そういうところを踏まえて難しいことをいとも簡単にこなしているULTERIORってほんとプロフェッショナルだと思いますね。
そしてYouTubeの動画内でも話している「特筆して言いたいのはシルエット」という部分。
デザイナーの牧さんが所有しているヴィンテージデニムを2本掛け合わせた作品なのですが、そこから更に腰回りや渡り幅、丈を調整し現代の日本人に合うようなシルエットに変更。
そこに膨らみのあるデニムを落とし込むことで腰回り、お尻まわり、股間まわりのタイトさを除去。
ヴィンテージデニムを穿いた時のムチムチ感を取り除いています。
それが結果、海外スナップで見ていた洒落た外人さんが穿いているあのデニムの空気になっているのですね。
ブランドの説明にもあるように「穿き始めから体に馴染む」というのが強く感じられるほど、通常のデニムより柔らかく作られており着用していてもゴワツキは感じません。
丈も短めに設定されていてジャスト〜1クッションほどになるのがスニーカーでも革靴でもイケる長さでファッションアイテムとして使いやすいなと。
そういった様々な調整を着用すると感じる1本です。
173cmがサイズ4を着用
レザージャケットはmax
ハットはSailor Hat
ブーツはSide Zip Heel Boot
を着用しています。
極限までヴィンテージに近いながらも一切古着の空気は感じずに何方かと言えば明らかにモードな空気のほうが強い仕上がりに。
このVintage Washedと謳いながら結局はファッションを楽しむための加工、そしてシルエットなのが他ブランドの加工デニムとは違うかなと思うんです。
この横から見た時のシルエットの余白がとても美しくないですか。
ULTERIORのコンセプトにある「余白や不均一や不完全という美しさを表現する〜」というのがこの部分ではないのか、そう思ってしまうほどです。
ロゴが入っているわけでも、ヴィンテージ本来の色合いや色落ちに完璧までに近いわけでも、蘊蓄が詰まりまくっているわけでもないのですが、どこか不思議と "シャレてる" と思ってしまうわけです。
そしてその感覚が私たちの共通言語ではないでしょうか。
うまく伝えられないから歌詞にした、とバンドマンが話すように上手く伝えられないから服にした。そんな1本だと感じます。
是非お試しください。