Type75 / Beige

¥48,400

ISSUETHINGSを初めて数年、ファーストシーズンから取り扱いがあるのですがこのブランドは本当に不思議で服を作っている、コレクションを作っているという感覚よりもコレクションを出すごとにISSUETHINGSというブランドとしてのイメージやブランドを取り巻く空気を建設しているように思えます。

というのもいつも実験的だからです。

ダメージや色落ちといった加工を施すだけではなく、縫い子さんによるパッカリングの具合の違いやそのパッカリングが作用し生まれる膨らみなど、ずっと服を作っているというよりも服を通して実験を行っているのです。

もちろんそれを見て格好良いと思いますし何より面白いなと感じる。それがISSUETHINGSなのです。

つまりその姿勢に惹かれているわけですね。

今回も本当に面白い。

私も以前アトリエに伺ったことがあるのですがそこには部屋がパンパンになるほどのヴィンテージが並んでおり「これはあのブランドが〜」「これは〜」のような元ネタになっているモノから見たことのない形のものまで。

そして本棚には衣服の歴史が綴ってある教本が置いてあったりと服に関連する全てが置いてあるようなアトリエでした。

しかし今回このType75の説明にあるのは

「今まで見てきたアメリカ軍物の中で群を抜いて安っぽく見えるシャツを、逆に高級なインドのシルクコットンでつくろうと思い制作しました」と。

まじか、あれだけヴィンテージあって1番安っぽいやつかよ・・・

愕然としつつも前のシーズンでも使用していたシルクコットンの生地を乗せるということで一筋の光明が差し込むことに。

使っている生地はインドにて手紡ぎ・手織りで生産されたシルクコットン。

この生地がかなりキテる。

もちろん手紡ぎ・手織りの柔らかさや靡く感じ、膨らみ、軽さと今からの時期は最高な生地になっているのですがそれに加え色が素晴らしい。

よく見ると分かるのですが展開しているベージュ・パープル・ネイビーの3色ともに同じブルーの緯糸が使われています。

そしてそこに各々のベージュ・パープル・ネイビーを経糸として組み込むことで見る角度によって色合いが変わる玉虫色に。

この色合いが絶妙すぎてノックアウト。

マナミスのような作り込まれた衣服たちと合わせたいなと思う1枚です。

そして着ると群を抜いて安っぽいアメリカ軍のシャツが顔を覗かせます。

襟は大きくなく身幅と袖幅にはボリュームを持たせゆったりしていてキューバシャツのようなリラックスした空気も感じるくらい。

そしてアルチザンともカジュアルとも違う佇まい。

あれだけヴィンテージを持ちつつも群を抜いて安っぽいものを選んだ過程、そしてその安っぽいものに高級素材を載せるチョイス、糸を2色使うことで何色か分かりずらいという色合い、そしてアルチザンでもカジュアルでも無いような佇まい。

全てが曖昧で中立。

それはやはり実験的でまだまだ結果が出るような段階ではないからなのか、それともISSUETHINGSという服ではない何かをクリエイトし続けているブランドの手のひらの上で転がされているのかは分からない。

ただ一つ確かなのは間違いなくISSUETHINGS(問題提起)されているということ。

173cmがサイズ3を着用
パンツはButton Leg Loose Pantを着用
シューズはWhole Cut Tassel Loafer
ハットはSailor Hat

やりたかったマナミスとの合わせ。お互いにアルチザンと言えるような作り込みなのに、しっかり服としてファッションしているのでどことなくベクトルが似ているかなと思っていました。

加工によってボロボロになった激しい作り込みではなく、こんなクリーンな作り込みも私はアルチザンだなと感じます。

そして生地は本当に軽い。

着用感は0に等しく柔らかい生地が肌に触れるのが気持ち良いと思うくらいのソフトは肌触り。

それなのに表面は光沢がありリネンのような輝きとシルク特有の奥行きが表現されています。

「群を抜いて安っぽく見える」という面白フレーズのせいでこんな素晴らしい作品だとは思わなかったType75

着てみれば生地のハイクオリティーな質感や美しい生地の色合い、そして光沢など萌えるポイントが非常に多い1枚でした。

その辺りも含めて非常にISSUETHINGSらしい作品ですよね。

服好きは是非袖を通してみてください。手離したくなくなるはずです。

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